CM(Construction Management)方式とは?

CMとは?

 日本の建設工事では、総合建設会社(General Contracter,ゼネコン)、または住宅メーカーが一括して工事を受注する一括請負方式が一般的ですが、新たな建設生産・管理システムの一つとして、CM(Construction Management)方式が注目されています。

 CM(Construction Management)方式のCMr(Construction Manager)は、1960年代のアメリカで生まれました。当時のアメリカでは、工事の遅延や予算超過など建築に関するトラブルが多発していました。特に問題となったのは、トラブルの調整役が存在しなかったことです。
 契約の国であるアメリカの建設会社(Contracter)や設計者は、契約の範囲内でしか行動しません。責任外の理由で起きた工期の遅延や工事費の増加などについて、彼らが責任をとることは絶対にない。その結果、工事が数カ月遅れ、工事費が予算をオーバーすることも珍しくありませんでした。
 こうした情況を改善するために、調整役として1960年代に登場したのがCMrです。当然ですが、当初は請負ではなく、委任的に業務を引き受ける形となりました。
 欧米諸国に於いては、建設工事の契約形態として既に一般的な方式であり、建設取引の内容がオープンになると同時に、コスト縮減にも繋がるものと期待されています。

 米国におけるCMとは、事業主がコストダウンを図るために各専門工事会社やメーカーと個別に、しかも直接、契約を結ぶ(いわゆる分離発注)方式のことです。しかし、建築には素人である施主が工程管理や品質管理などを出来るはずがないので、事業主はCM業者に「各工程におけるリーズナブルで良心的な工事会社の選定、工程管理、品質管理」を委託します。 しかし、これはアメリカが「契約社会」「訴訟社会」である事を大前提としているからこそ出来ることです。

 日本で米国と同様のやり方でCM業務を進行することは非常に困難なことが予想されます。今日の厳しい経済状況の中、各工事会社は目の前にある仕事なら喉から手が出るほど欲しいのは言うまでもありませんが、本当に各工事会社が事業主と直に請負契約を結ぶでしょうか。 不動産業者のように継続的に建設に関わるならば米国式CMも通用する可能性がありますが、そうではない一般の施主が同様の方式を行おうとしても各工事会社にとっては、その仕事を受注できることは当然ありがたいことでしょうが、あくまでもそれはその工事が完成するまでの間の関係にすぎず、その先の次の仕事にすぐに結びつくかどうかは定かではありません。そうだとすると、一時の資金繰りのためだけに多大なリスクを背負い込んで総合建設会社を無視してまでも本気で受注しようとする会社は、これまでに日本の建設業界が築き上げてきた重層下請け構造がある限り、まず、ありえないと予想されます。一歩間違えばその会社の存続に関わるようなこととも成りかねないからです。

 今まで総合建設会社が行っていた工程管理、品質管理、近隣対策、各工事の手配、材料の調達、公官庁との折衝等を誰がやるのか。また、引渡後の建物に対しての保証はどうするのか。工事中の怪我や災害に対する保険などはどうするのか。各工事会社・メーカーへの支払が毎月発生してくるが施主はそれに対応できるか。
 これらの業務をすべてCM業者が担うとするとその報酬も相当なものになると予想されるうえ、何かの責任は常に施主が負わなければならないため、その建設に対して膨大な時間と労力をつぎ込まなくてはならなくなるのです。

米国のCMrについて

 請負」とは、ある仕事が完成することを約束して、完成したときに対価を受け取る方法。一方、「委任」は、ある目標に対して行われる行為そのものに対して対価が支払われる方法です。
 一見すると請負のほうが良い方法のように思えます。しかし、請負は、契約した内容以上のことをやらないのが欠点です。一方、委任は一生懸命に努力することに対して対価が支払われるのであるから、委任された側が健全であれば、より良い結果が生まれる可能性があります。これが委任と請負の大きな差なのです。
 アメリカに登場したCMrは2つのことを始めました。1つは契約スタイルの変更です。一般の一式請負とCM方式では契約形態がまったく異なります。一式請負では、発注者、ゼネラルコントラクター、サブコントラクター、設計者の4者が存在し、発注者とゼネコンの間で請負契約を結ぶのが一般的なスタイルです。
 一方、CM方式は、ゼネコンをはずして、発注者と専門工事業者とが直接契約を結ぶスタイルです。この方法により、一式請負におけるサブコンの契約内容および工事代金の不透明感が取り除かれるのです。
 2つ目は、工期のオーバーランのコントロールです。工事を分散発注して、発注者側が各部分の工事に目を光らせる。設計が部分的に完成すれば、その都度、その部分の工事を発注する。こうして段階的に工事を進め、工期のオーバーランを防ぐのです。

日本のCMについて

 日本でもようやくCM方式に関心が集まり、ゼネコン、設計事務所、独立の コンサルタント企業などが参入しようとしています。その一方で、CM方式に対して批判的なゼネコンもいます。「CM方式はリスクをとれない」というのが批判する理由のようです。
 しかし、そうした批判は、本来設計事務所に対しても向けるべきであり、ゼネコン自身が襟を正し、発注者や設計者の過失を指摘していれば、日本の優れた建築生産システムにCM方式を持ち込む必要はなかったのです。
 現代は、ゼネコン不信、設計事務所不信の時代です。従って、新しい契約・発注方式が求められています。その1つがCM方式であるというだけでしょう。そのことに気が付かないゼネコンがあまりに多いのです。

マネージメント比較

 ゼネコンが今やっていることと、CM方式がやろうとしていることは、マネジメントという点において差はないのです。決定的な違いは、請負か委任かの違いです。
 日本の場合は特命という形態があります。発注者と施工者間の信頼関係を基にして、設計途中あるいは設計着手前に施工者を決める特命方式は、施工者が設計者に対してさまざまな技術的ノウハウを提供できるというメリットがあります。
 CM方式も、特命方式においてゼネコンが設計者に対して行ったのと同じサービスを提供しようとしています。この点においても、請負方式とCM方式の差はありません。
 2つをマネジメントの観点で区別することは意味がない。むしろ同じものであると考え、違うのは契約関係と参画するタイミングの問題だと考えればいいのです。そのように割り切れば、発注者がCM方式とゼネコンの請負方式を選ぶ際にポイントを絞って考えられるでしょう。

 今後日本の建設業の形態は、過去の米国のように様変わりして行くように思います。1960年代以前のアメリカは、今の日本と同じゼネコンが主流でした。しかし、やはり施主の信頼の得られない方法は衰退していくのです。もっと早くにこの事に気がつけば・・・いや、今だから気づくのが社会かもしれませんね。

今後の日本の建設業界に期待しましょう。

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